これだけは知っておきたい！遺産相続の基本知識と対策

2024/01/25

コラム

はじめに

　遺産相続は、誰もがいつかは関わることがある重要な問題です。遺産相続に関する基礎知識を把握し、円滑な手続きが行われるように事前に対策を立てることが大切です。また、遺言書の作成や適切な相続税の対策も進めておくことがおすすめです。本ブログでは、遺産相続に関する重要な情報を順を追って説明していきます。

遺産相続の基本要点

　遺産相続において理解しておくべき基本要点は、法定相続人の種類や遺留分、遺言書の効果などです。日本の法律では、法定相続人が自動的に遺産相続権を持ち、遺言書がない場合や遺言書が不備がある場合でも、遺産相続は実現されます。

・法定相続人の種類

　法定相続人とは、民法で定められた遺産相続権を自動的に持つ人のことを指します。法定相続人の順位は、配偶者が最優先され、次に子ども（死亡している場合は孫）、親（死亡している場合は祖父母）、兄弟姉妹（死亡している場合は甥・姪）の順で設定されています。子どもが亡くなっている場合でも、子どもの子どもが代襲相続人（代理相続人）として相続権を持つことができます。相続人の意思疎通がなければ、当然ながら遺産分割協議もうまく進まず、トラブルにつながる可能性があります。

　また、未成年者も法定相続人として遺産相続権を持つことができます。ただし、未成年者であるため、遺産相続の手続きや遺産分割協議には、親権者や法定代理人が代わりに手続きを行います。

・遺留分

　遺留分とは、法定相続人に対して一定割合の財産を保証するものです。法定相続人に遺留分以下の財産しか受け継がされない場合、遺留分減殺請求権を行使して他の遺産相続人から減殺の請求ができます。　　　　　　　　　　遺留分請求権があるのは、配偶者、子ども、親であり、兄弟姉妹は遺留分を受けることができません。

　遺留分の割合は、配偶者が法定相続人でなくても 1/2、子どもがいる場合は子どもの相続分に対して各々 1/2、親がいる場合は親の相続分に対して 1/2 です。遺留分を設定する目的は、親族間のトラブルを防ぐためと、法定相続人の生活基盤を守ることです。

遺言書による相続管理

　遺言書は、遺産相続において自分の意志を反映させるための重要な手段です。遺言書を作成すれば、与えたい相続人に対して特定の財産を相続させたり、相続割合を指定したり、遺産分割協議を円滑に進めることができます。

・遺言書の種類

　遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの種類があります。

　自筆証書遺言は手書きで作成する最も一般的な遺言書で、封筒に入れて遺言証書保管所に預けることもできます。

　公正証書遺言は、公証人によって作成されるため、法的効力が強く、遺留分減殺請求に対抗できます。

　秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同様に手書きで作成しますが、公証人を立ち会わせて封筒に入れて保管されるため、秘密が守られます。

　遺言執行者を指定することで、遺言書に従って遺産分割が円滑に行われます。遺言執行者は、遺言者が信頼できる人物（配偶者や親族、友人、専門家など）を任命することが一般的です。

・遺言書の効果

　遺言書の効果は、遺産分割協議がスムーズに進むことと、特定の相続人に特定の財産を相続させることを可能にする点です。遺言書には、遺産の分割方法や相続人に対する負担など、遺言者の具体的な意思が記されているため、遺産相続の手続きが円滑に進む可能性が高くなります。

　また、遺言書に指定された遺言執行者が存在すれば、遺産分割協議を円滑に進めるだけでなく、遺言者の意向を尊重した遺産相続が実現されることが期待できます。遺言書によっては、遺産の名義変更や払い戻し手続きを簡略化することもできます。

相続税の対策

　遺産相続が発生すると、その遺産に対して相続税が課されることがあります。相続税は、相続財産に応じて納める税金であり、相続財産に該当する金額が一定の額（基礎控除額）を超える場合に課税されます。相続税対策は、適切な対策を行うことで、相続税負担を最小限に抑えることができます。

・基礎控除額と相続税の計算

　相続税の基礎控除額は、法定相続人数によって計算されます。基礎控除額は、3,000万円＋（600万円×法定相続人数）で算出される金額となります。例えば、被相続人の配偶者と子2人の場合、法定相続人数は3人となり、基礎控除額は4,800万円となります。したがって、相続した財産が4,800万円以下であれば、相続税がかからないことになります。

　相続税の計算方法は複雑であり、承継財産、評価額、課税価格、課税割合など一般に理解しにくい概念が含まれています。しかし、適切な知識を持ち、計算方法を理解し適切な対策を行うことで、相続税負担を軽減することができます。

・相続税対策の方法

　相続税対策の方法には、生前贈与、遺産管理信託、相続放棄、民事信託などがあります。

　生前贈与は、一定の金額に制限されますが、年１回の贈与を繰り返していくことで、相続財産を減少させることができます。

　遺産管理信託は、被相続人が亡くなると、その遺産が信託銀行に移る形で相続人にプラスの財産のみ引き継がせることができます。

　相続放棄は、遺産相続権を放棄することで相続税を免れることができますが、その場合、他の相続人による課税価格が増加してしまう恐れもあります。

　民事信託は、被相続人が亡くなった際に信託財産を相続人に引き継がせることができます。これにより、相続財産が他の相続人に移らず、相続税がかからなくなることがあります。ただし、民事信託の設立には手数料が発生し、運用面でのリスクも考慮に入れる必要があります。

　詳しくは税理士事務所に問い合わせすることをお勧め致します。

まとめ

　遺産相続に関する重要な情報を理解し、適切な対策を事前に行うことが、遺産相続を円滑に進めるために重要です。法定相続人や遺留分の設定、遺言書の効果や相続税対策など、知っておくべきポイントが多くあります。また、遺産相続に関する専門家のアドバイスを受けることも大切です。これから遺産相続を行う方、または遺産相続に関する知識を深めたい方は、本ブログを参考にしていただければと思います。遺産相続の手続きやトラブルを避けるためには、事前の準備と相続関係者とのコミュニケーションが大切です。遺産相続に関する知識を十分に身につけ、円滑かつトラブルのない相続を実現しましょう。