相続放棄と遺産分割協議の違いと手続きのポイント

query_builder 2024/02/20
コラム

はじめに

 相続と言えば、故人が遺した財産や借金を引き継ぐことを意味しますが、それにはいくつかの選択肢があります。特に、相続放棄と遺産分割協議は混同されがちな二つの制度です。このブログ投稿では、それぞれの制度の特徴と違い、行うべき手続きについて詳しく説明します。

相続放棄とは

・相続放棄の基本

 相続放棄とは、故人の財産だけでなく、借金も含めて一切の相続権を放棄することを意味します。この手続きをすることで、故人の負債に関する責任から自由になることができます。相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要であり、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。

 相続放棄を行うことで、相続人は法律的に故人の財産や借金とは無関係となります。これにより、借金の取り立てから逃れることが可能ですが、同時に故人が残した財産も一切受け取ることができなくなる点に注意が必要です。

・相続放棄の手続き

 相続放棄の手続きは、家庭裁判所に相続放棄の申述を行うことで開始します。この際、申述書に加え、戸籍謄本などの必要書類を提出する必要があります。また、相続放棄をする場合は、すべての相続財産を放棄することになるため、手続きを行う前にじっくりと検討することが重要です。

 相続放棄が認められると、相続人は最初から相続人ではなかったかのように扱われ、故人の財産や借金に関して一切責任を負わなくなります。しかし、家庭裁判所での手続きは、特に多くの書類を用意する必要があるため、時間がかかる場合があります。

遺産分割協議とは

・遺産分割協議の概要

 遺産分割協議は、相続人同士で故人が遺した財産の分配方法について話し合い、合意を形成する手続きです。この制度では、家庭裁判所を介さずに、相続人たちが直接話しあって解決を図ります。遺産分割協議を通じて、相続人は故人からの財産だけでなく、借金についてもその扱いを決定することができます。

 遺産分割協議は、すべての相続人が合意に至らなければ成立しません。そのため、協議が難航する場合には、弁護士などの専門家に相談することが望ましいです。また、協議が成立した後は、その内容を正式な遺産分割協議書にまとめ、相続人全員の署名や押印を得る必要があります。

・遺産分割協議の進め方

 遺産分割協議を進める際には、まず相続人全員で集まり、故人の財産や負債の状況を共有します。次に、それぞれがどのような財産を希望するのか、どういった方法で分割するのかについて話し合います。重要な点は、すべての相続人が納得するまで話し合う必要があることです。

 遺産分割協議は、相続放棄と異なり、特定の財産を放棄することも可能です。これにより、借金などの負債は引き継ぐものの、それに見合うだけの価値ある財産を相続することができる場合もあります。遺産分割協議を行うことで、相続人間の平和的な解決が期待できます。

相続放棄と遺産分割協議の違い

・手続きの違い

 相続放棄と遺産分割協議の最も顕著な違いは手続きの場所と方法です。相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要であり、一定の期間内に申し出る必要があります。一方で、遺産分割協議は相続人同士での私的な話し合いであり、特定の期間内に行う必要はありません。

 さらに、相続放棄は相続財産だけでなく負債からも自由になることができる点で、遺産分割協議と大きく異なります。遺産分割協議では、相続人が自らの意志で特定の財産の放棄を選択することはできますが、それによって自動的に負債から逃れることはできません。

・効果の違い

 相続放棄を行うと、法律上、相続が発生したこと自体がなかったかのように扱われます。これは、相続人が故人の財産に一切触れないことを意味し、負債の返済義務も免れます。一方、遺産分割協議による財産の放棄は、その財産に限定され、負債に対する責任を免れるわけではありません。

 また、遺産分割協議は相続人間での合意が必要であり、合意に至るまでには時間が掛かることがあります。しかし、相続放棄は相続人個人の意思と家庭裁判所への申し出で完了するため、他の相続人の意向に左右されることなく手続きを進めることができます。

相続放棄をする際の注意点

・期間内に手続きを完了させること

 相続放棄を検討している場合、最も重要なのが手続きを相続開始から3ヶ月以内に完了させることです。この期間を過ぎてしまうと、相続放棄ができなくなり、故人の借金等の負債を引き継ぐことになりかねません。

※なお、「自分のために相続の開始があったことを知った時」から3か月を経過してしまった場合でも、例外的に相続放棄の申述が認められることもあります。

 期間内に手続きを行うためには、故人の死亡を知った時点で速やかに家庭裁判所へ行くか、法律の専門家に相談することが推奨されます。早めの行動が、余計なトラブルを避ける鍵となります。

・家庭裁判所への正しい申し出方法

 相続放棄の申し出は、正確な書類の準備と正確な手続きを要します。申述書には故人の情報のほか、相続人自身の情報を正確に記入する必要があります。不備があると手続きが遅れる原因となります。

 また、必要書類の準備には時間がかかることもあるため、準備に取り掛かるのはできるだけ早い方が良いでしょう。不明点は家庭裁判所の窓口や、相続に詳しい専門家への相談をお勧めします。

遺産分割協議の進め方

・全相続人との合意形成が必要

 遺産分割協議では、全ての相続人の合意が必要です。これは、遺産をどのように分割するか、全員が納得する解決策を見つける必要があることを意味します。時には相続人の間で意見の衝突が生じることもあります。

 そうした場合、第三者の調停者を立てるか、専門家(弁護士や調停者)の助けを借りることが有効です。専門家に相談することで、より公平な分割案を作ることができ、トラブルを未然に防ぐことが可能になります。

・遺産分割協議書の作成

 遺産分割協議が全相続人の間で合意に達した後は、その内容を遺産分割協議書にまとめる必要があります。この協議書は、後に発生する可能性のあるトラブルを防ぐための重要な書類です。

 遺産分割協議書は、必ず全相続人の署名や押印が必要になります。適切に書類を作成し、公証役場で公正証書として認証を受けることも検討するとよいでしょう。公正証書として認証を受けることで、法的な効力をより強固にすることができます。

まとめ

 相続放棄と遺産分割協議は、相続において重要な選択肢です。それぞれの手続きには特徴があり、選択にあたっては十分な情報収集と慎重な検討が必要になります。相続放棄は、負債を含めた故人の財産全体から手を引くことができる手段ですが、財産の相続も諦めることになります。一方、遺産分割協議は、相続人間で故人の財産と負債の扱いについて話し合い、納得いく形で分割する手続きです。

 いずれの選択肢を選ぶにせよ、期限や手続きの方法など、正確な知識を持つことが大切です。また、相続放棄や遺産分割協議には複雑な法的な問題が伴うことも多いため、不明点や不安がある場合は専門家に相談することをお勧めします。相続は一度きりのイベントではありますが、その後の家族関係にも大きな影響を及ぼす可能性があるため、細心の注意を払って対応する必要があります。

よくある質問

1. 相続放棄とは何ですか?

 故人の財産や借金を一切放棄することであり、相続人はその関係や責任から解放されます。

2. 相続放棄をする場合の手続きはどうなりますか?

 相続放棄を行う場合は、家庭裁判所に相続放棄の申述書と必要書類を提出する必要があります。

3. 遺産分割協議とは何ですか?

 相続人同士が故人の財産の分配方法について話し合い、合意を形成する手続きです。

4. 相続放棄と遺産分割協議の違いは何ですか?

 相続放棄は家庭裁判所で行う手続きであり、借金などの負債からも解放されます。遺産分割協議は相続人同士で話し合いを行い、相続人全員の合意が必要です。

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