相続の基本！遺留分とは？計算方法と遺留分侵害時の対処法を徹底解説致します！ | これまで小山市で承った相続に関するご相談の中から主な例を選り抜いて解説しています

はじめに

　相続は、人が亡くなった際に遺された財産をどのように分配するかに関する重要なプロセスです。この中で、「遺留分」という概念があります。遺留分とは、故人の近親者が最低限受け取ることが保証されている遺産の割合のことを指します。遺言書や生前の贈与によっても変更できない、法律で保護された権利です。この記事では、遺留分に関する基本的な知識やその計算方法、その侵害時の対処法などを詳しく解説していきます。

遺留分とは

　遺留分とは、法律で保障された相続人の取得するべき最低限の遺産のことを指します。兄弟姉妹を除く、故人の直系血族や配偶者などがこれに当たります。遺留分は、遺言書による指定や生前贈与によっても侵されない権利であり、相続における重要な概念です。

・遺留分の対象者

　遺留分の対象となるのは、故人の配偶者、子ども、親などの直系血族です。兄弟姉妹は遺留分の対象から外れます。これは、最も近しい血縁関係にある人々の生活保護という目的があるためです。

　具体的な対象者は、故人の有する財産に対して、相続権を持つ人々です。遺留分が認められるのは、法的に保護された権利として、これらの人々が最低限受け取るべき財産の割合を意味します。

・遺留分の割合

　遺留分の割合は、法定相続分の半分が基本です。例えば、子どもが相続人である場合、その子の法定相続分が遺産全体の1/2であれば、遺留分はその半分の1/4となります。ただし、遺留分の具体的な割合は、相続人の数や関係によって変わるため、個別の状況を考慮する必要があります。

　遺留分の計算は複雑な場合が多いです。遺贈や生前贈与も遺留分の計算に含まれることから、正確な遺留分を算出するには専門的な知識が必要になります。

遺留分の計算方法

　遺留分を計算する際には、故人の遺した財産全体を把握することがまず第一です。その後、法定相続分に基づいて遺留分を計算します。遺留分の計算には、総体的遺留分と個別的遺留分の二つの概念があります。

・総体的遺留分の算出

　総体的遺留分とは、遺留分権利者全員の遺留分の合計のことを指します。これは、相続人全員の法定相続分の半分で計算されます。例えば、相続人が子ども二人の場合、それぞれに法定相続分が1/2ずつあるので、全体で2/2=1となり、その半分の1/2が総体的遺留分となります。

　この総体的遺留分を基に、各相続人の個別的遺留分を計算することになります。この段階で、具体的な財産の割り当ては行わず、あくまで遺産全体に対する割合を算出します。

・個別的遺留分の算出

　個別的遺留分は、総体的遺留分を各相続人の法定相続分の割合で分けたものです。たとえば、総体的遺留分が1/2で、相続人が二人の場合、それぞれの個別的遺留分は1/4になります。

　この個別的遺留分をもとに、遺留分侵害額を計算することができます。遺留分を侵害している財産がある場合は、この個別的遺留分を基準にして、侵害額を求めることになります。

遺留分の侵害と対処法

　遺留分が侵害された場合、権利者は遺留分侵害額請求を行うことができます。遺留分侵害額請求は、侵害された遺留分を金銭で補填請求する手続きです。この手続きには特定の時効があり、一定の期間内に行う必要があります。

・遺留分侵害額請求の手続き

　遺留分が侵害されたと考える相続人は、まず侵害されたことを知った時から1年以内、または相続開始から10年以内に請求を行う必要があります。請求の手続きは、侵害者に対して遺留分侵害額の支払いを求める内容の通知を送ることから始まります。

　話し合いによる解決が困難な場合は、家庭裁判所に調停を申し立てたり、最終手段として訴訟を起こすことも可能です。このような場合、専門家の助言を受けることが望ましいです。

・遺留分侵害額請求の対象財産

　遺留分侵害額請求の対象となる財産は、原則として相続財産全体です。これには、遺言による遺贈や生前贈与によって承継された財産も含まれます。特に生前贈与は、相続開始前1年以内に行われたものや、遺留分を侵害する意図で行われた贈与が重点的に問題視されます。

対象となる財産を基に計算された侵害額は、侵害者が遺留分権利者に対して現金で支払う形で清算されます。この過程で相続税の再計算が必要になる場合もあるため、注意が必要です。

遺留分の放棄

　遺留分は放棄することも可能です。遺留分の放棄は、法定相続人が自らの遺留分権利を行使しないことを選択することを意味します。放棄するには一定の手続きが必要です。

・遺留分放棄の方法

　遺留分の放棄をする場合、相続開始後に家庭裁判所への申し立てが必要になります。この手続きにより、放棄が正式に記録され、法的な効力を持つことになります。

　放棄の決定は、相続人ごとに検討すべき事項です。将来の財産関係や家族間の関係に影響を与える可能性があるため、専門家の意見を参考にしながら慎重に決定することが推奨されます。

・遺留分放棄の影響

　遺留分を放棄した場合、その相続人は放棄した遺留分に関して何も得ることができません。しかし、これによって遺言による意思表示がより正確に反映されることになり、円滑な相続が期待できます。

　また、遺留分放棄は相続人間のトラブルを防ぐ効果もあります。相続人一人ひとりが自らの権利をしっかりと認識し、主張することで、相続に関する不明確な点をクリアにすることができます。

遺留分を考慮した財産承継の計画

　遺留分を適切に扱うためには、生前からの財産承継の計画が重要です。事前に遺留分について理解し、適切な対策を立てることで、相続人間の争いを避け、円滑な相続へと導くことができます。

・財産承継の計画方法

　財産承継計画を立てる際には、まず全ての財産を把握し、遺留分を考慮した上で、どのように分配するかを検討します。この際、生前贈与や遺言書の活用などが考えられます。

また、特に重要な財産や事業の継承に関しては、専門家のアドバイスを受けることも重要です。遺留分に配慮しつつも、自身の意志が正しく反映される遺言書の作成へと導くことが、後のトラブルを避ける鍵となります。

・生前贈与の活用

　相続税の節税対策として生前贈与が注目されがちですが、遺留分の観点からも重要な手段となります。生前贈与を通じて財産をある程度分散させることで、遺留分侵害のリスクを低減させることが可能です。ただし、贈与には相続開始前1年以内のものが遺留分計算の対象となり得ることを念頭に置く必要があります。

　生前贈与を行う際は、贈与税の規定や遺留分との兼ね合いを考慮して計画を立てることが重要です。適切な計画をもとに生前贈与を行うことで、遺留分問題を事前に解消し、相続時の紛争を避けることができます。

まとめ

　遺留分は、法定相続人の最低限受け取るべき遺産の割合を保証する制度です。相続人間で意見の対立が起こりやすい相続問題において、遺留分は重要な役割を担っています。遺留分の保護を意識しながら適切な財産の承継計画を立てること、相続が始まった後には、適切な対応を取ることが求められます。

　遺留分問題は複雑であり、個々の状況によって対応策も異なります。遺留分侵害が疑われる場合や、相続計画を立てる際には、法律専門家に相談することをお勧めします。適切なアドバイスを得ることで、スムーズな相続手続きを進めることが可能です。最後に、遺留分は相続人の基本的な権利であるという認識を持ち、遺留分保護の重要性を再認識することが大切です。

よくある質問

Q1: 遺留分とは何ですか？

A1: 遺留分とは、故人の最も近しい血縁者や配偶者が保証されている最低限受け取るべき遺産の割合のことを指します。

Q2: 遺留分の計算方法はどのように行われますか？

A2: 遺留分の計算には総体的遺留分と個別的遺留分の二つの概念があります。まず総体的遺留分を計算し、その後、個別的遺留分を各相続人の法定相続分の割合で求めます。

Q3: 遺留分が侵害された場合、どのように対処すればよいですか？

A3: 遺留分が侵害された場合、遺留分侵害額請求を行うことができます。侵害者に対して通知を送り、話し合いや調停、訴訟などの手続きを行うことで遺留分侵害額の補填を求めることができます。

Q4: 遺留分を放棄することは可能ですか？

A4: はい、遺留分を放棄することは可能です。遺留分放棄の手続きを行うことで、放棄した分に関しては何も受け取ることができませんが、遺留分によるトラブルを回避することができます。