遺産分割協議書で相続を拒否する時のリスクと手続きについて

query_builder 2024/06/21
コラム

はじめに

 遺産の相続は、人生の大切な通過儀礼の一つです。亡くなった人の財産を適切に引き継ぐことは、故人への敬意を表すだけでなく、遺された者にとっても大きな意味を持ちます。しかし、相続手続きは複雑で、さまざまな選択肢があります。本ブログでは、遺産分割協議における「相続しない」選択について詳しく解説します。

相続分の放棄と相続放棄の違い

 まず、「相続分の放棄」と「相続放棄」の違いを理解しましょう。

・相続分の放棄とは

 相続分の放棄とは、遺産分割協議書に記載することで、自身の相続分をゼロとする方法です。借金などの消極財産は免れられませんが、期間の制限がなく、遺産分割前であればいつでも可能です。

 例えば、相続人が4人いた場合、1人が相続分を放棄すれば、残りの3人で遺産を分け合うことになります。手続きは比較的簡単で、相続人全員で遺産分割協議書に署名・捺印するだけで済みます。

・相続放棄とは

 一方、相続放棄とは、被相続人の権利義務を一切引き継がない方法です。プラスの財産もマイナスの財産も相続しません。ただし、家庭裁判所に申述する必要があり、相続の開始を知った日から3か月以内に行わなければなりません。

 相続放棄のメリットは、借金などの債務を一切引き継がないことです。しかし、手続きが面倒で申述までの期限も短いというデメリットがあります。また、相続放棄をすると、生命保険金や死亡退職金の非課税枠の適用やら相次相続控除の利用ができなくなります。

相続分の放棄の手続き

 相続分の放棄は、遺産分割協議の一環として行われます。手続きの流れは以下の通りです。

・相続人全員の合意

 まず、相続分を放棄する相続人を除く全ての相続人で話し合い、合意を得る必要があります。相続分の放棄は、全員の合意なしでは成立しません。

 相続人と被相続人との関係性や、遺産の内容などを踏まえた上で、誰が遺産を相続するのが適切かを協議します。この際、専門家に相談するのも良い選択肢です。

・遺産分割協議書の作成

 相続人全員の合意が得られたら、遺産分割協議書を作成します。この協議書には、次の内容を記載する必要があります。

  • 相続人の住所・氏名
  • 被相続人の遺産の内容
  • 相続分を放棄する人の氏名と、その旨の記載
  • 相続する人の氏名と、受け取る遺産の内容
  • 相続債務の負担割合

・署名・捺印と手続き完了

 遺産分割協議書に、相続人全員が署名・捺印します。相続分を放棄する人も含まれます。これで手続きは完了です。

 遺産分割協議書の写しを金融機関(=銀行口座の解約等)や法務局(=所有権移転登記等)など、関係する機関に提出することで、解約や名義変更などの手続きを進めることができます。

相続放棄の手続き

 一方、相続放棄の手続きは以下の通りです。

・相続財産の調査

 まず、被相続人の資産と債務を洗い出します。プラスの財産とマイナスの財産を把握し、相続放棄が適切かどうかを判断する必要があります。

 この際、不動産や預貯金、有価証券、生命保険金、退職金などの資産はもちろん、住宅ローンや借入金、未払い税金なども確認しましょう。

・家庭裁判所への申述

 相続放棄を決めたら、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。この際、次の書類が必要になります。

◇被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票

◇申述人の戸籍謄本

※上記の書類以外に被相続人と申述人との関係性により、必要な書類が異なってきます。

  • ◇収入印紙
  • ◇返信用切手(申述する家庭裁判所にてご確認下さい)

 申述は、相続の開始があったことを知ってから3か月以内に行わなければなりません。期限を過ぎると相続放棄ができなくなるため、注意が必要です。

・手続きの完了

 申述後は、家庭裁判所から照会書が届きます。これに回答すると、後日「相続放棄申述受理通知書」が送付されてきます。これをもって、相続放棄の手続きは完了です。

 相続放棄をすると、生命保険金や退職金の非課税枠が受けられなくなる点には注意が必要です。また、相次相続控除の適用もできなくなります。

選択のポイント

 相続分の放棄か相続放棄か、どちらを選ぶべきかは状況によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で、適切な選択をすることが重要です。

・相続分の放棄を選ぶ場合

  • 遺産にマイナスの財産がほとんどない
  • 他の相続人と話し合いがつきやすい
  • 手続きが簡単で済ませたい

・相続放棄を選ぶ場合

  • 遺産にマイナスの財産が多い
  • 相続債務を一切背負いたくない
  • 他の相続人との話し合いが難しい

 いずれの場合も、自身の置かれた状況を踏まえた上で、慎重に検討する必要があります。場合によっては専門家に相談するのも賢明でしょう。

まとめ

 遺産の相続は、故人への敬意を表すだけでなく、遺された者の生活にも大きな影響を及ぼします。相続を放棄する選択肢がある一方で、その手続きには様々な注意点があります。本ブログで解説した内容を参考に、自身の状況に適した選択をすることが大切です。

よくある質問

Q1.相続分の放棄と相続放棄の違いは何ですか?

A1.相続分の放棄は、自身の相続分をゼロとする方法です。一方、相続放棄は被相続人の権利義務を一切引き継がない方法です。前者は手続きが簡単ですが、借金などの債務は免れられません。後者は借金を一切引き継がないメリットがある一方で、手続きが面倒で期限も短いデメリットがあります。

Q2.相続分の放棄はどのように行うのですか?

A2.相続分の放棄は、相続人全員の合意のもと、遺産分割協議書を作成し、署名・捺印するだけで完了します。協議書には相続人の情報、被相続人の遺産内容、相続分を放棄する人の氏名、相続する人の遺産内容などを記載する必要があります。

Q3.相続放棄はどのように行うのですか?

A3.相続放棄の手続きは、まず被相続人の資産と債務を調査し、相続放棄が適切かを判断します。その上で家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。申述は相続の開始から3か月以内に行う必要があります。家庭裁判所からの照会に回答すると、手続きが完了します。

Q4.相続分の放棄と相続放棄のどちらを選ぶべきですか?

A4.状況に応じて適切な選択をする必要があります。遺産にマイナスの財産が少ない、他の相続人との話し合いがつきやすい場合は相続分の放棄が適切ではないでしょうか。一方、遺産にマイナスの財産が多く、相続債務を一切背負いたくない場合は相続放棄を選ぶべきでしょう。

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