相続放棄手続きの完全ガイド｜やるべきことと注意点を徹底解説

2025/04/22

コラム

はじめに

相続とは、被相続人(亡くなった方)の財産や債務を引き継ぐ法的手続きです。相続には、相続財産を受け入れる「単純承認」、一部のみ受け入れる「限定承認」、そして財産と債務の両方を放棄する「相続放棄」の3つの選択肢があります。本記事では、相続放棄の手続きと注意点について詳しく解説していきます。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人から相続される財産と債務の両方を放棄する選択です。つまり、相続人は被相続人の財産を引き継がず、借金の返済義務も発生しません。

相続放棄をする理由

相続放棄を選択する主な理由は以下の通りです。

被相続人の借金が多額で、相続財産を上回っている場合
不動産など管理が困難な財産があり、相続を望まない場合
他の相続人との間で相続トラブルが予想され、避けたい場合

つまり、相続によってマイナスの影響が見込まれる場合や、相続自体を望まない事情がある場合に、相続放棄を検討することになります。

相続放棄のメリット・デメリット

相続放棄には以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

借金の返済義務が発生しない
相続手続きの手間が省ける
相続トラブルのリスクが低減する
相続税の支払いが不要になる

デメリット

被相続人の資産を一切相続できない
生命保険金なども受け取れなくなる可能性がある
他の相続人に財産が集中する可能性がある

このように、相続放棄にはメリット・デメリットがあるため、状況を総合的に判断する必要があります。

相続放棄の手続き

相続放棄を行うには、法定の期限内に手続きを完了する必要があります。ここでは、相続放棄の手続きの流れと注意点を説明します。

準備したい書類

相続放棄の手続きに必要な書類は以下の通りです。

相続放棄申述書(収入印紙800円を貼付)
被相続人の戸籍謄本
被相続人の住民票の除票
申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本

また、期間内に提出するための郵便切手や、書類の交付手数料などの実費も必要になります。

手続きの流れ

被相続人の財産状況を確認する
必要書類を準備する
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出する
裁判所から照会書が届くので、指定期限内に回答する
相続放棄申述が受理されると、通知書が送付される

相続放棄の手続きは期限があり、原則として相続開始を知ってから3か月以内に完了する必要があります。期限に間に合わない場合は、例外的に期間の延長を申し立てることができます。

専門家に依頼する場合

相続放棄の手続きは自分で行うことも可能ですが、以下のような場合は専門家(弁護士や司法書士)に依頼するのがおすすめです。

手続きが複雑で自信がない場合
期限が迫っており、時間的余裕がない場合
他の相続人との間でトラブルが予想される場合

専門家に依頼すれば、適切な手続きと期限の管理、相続放棄の判断のサポートなどを受けられます。費用は事例によって異なりますが、一般的に弁護士に依頼する場合は5万円~10万円程度となります。

留意すべきポイント

相続放棄には以下のようなポイントに注意が必要です。

期限に注意

相続放棄にはタイムリミットがあり、原則として相続開始を知ってから3か月以内に手続きを完了しなければなりません。期限を過ぎると相続放棄ができなくなるため、余裕を持って対応することが大切です。

申述内容の確認

申述書の記載内容に不備があると、裁判所から確認や訂正を求められる可能性があります。内容を慎重に確認し、正確に記載することが重要です。

遺産分割とのタイミング

相続放棄すると、自身の相続分は他の相続人に移転します。そのため、他の相続人による遺産分割の動きに注意が必要です。分割前に相続放棄の手続きを済ませることをおすすめします。

撤回の難しさ

一度相続放棄が受理されると、原則として撤回や取り消しはできません。確実に相続を放棄する意思があることを確認してから手続きを行う必要があります。

まとめ

相続放棄の手続きは、被相続人の債務が多額で遺産を相続したくない場合や、不動産の管理が困難な場合などに選択できる方法です。手続きには期限があり、自身で行うこともできますが、専門家に依頼することで的確なアドバイスを受けられます。相続放棄は財産放棄と債務免除の両面があるため、慎重に検討し、必要な手続きを行うことが重要です。