【完全解説】寄与分とは?認定要件から特別寄与料まで相続の専門家が徹底ガイド

query_builder 2025/09/30
コラム

はじめに

相続において、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人に対して、法定相続分以上の遺産を受け取る権利が認められることがあります。これが「寄与分」と呼ばれる制度です。この制度は、相続人間の不公平を解消し、公正な遺産分割を実現するために設けられています。


寄与分制度の意義

寄与分制度は、単純に法定相続分で遺産を分割するだけでは解決できない不公平を是正するための重要な仕組みです。例えば、長年にわたって被相続人の事業を無償で手伝い続けた相続人と、全く関与しなかった相続人が同じ相続分を受け取ることは、実質的な公平性の観点から問題があります。

この制度により、被相続人の財産形成に実際に貢献した相続人の努力や犠牲が適切に評価され、相続において報われることになります。ただし、寄与分が認められるためには厳格な要件を満たす必要があり、単なる親族としての義務の範囲内での行為では認められません。


現代における寄与分の重要性

高齢化社会が進む現代において、被相続人の療養看護や扶養を長期間にわたって担う相続人が増加しています。また、家族経営の事業においても、特定の相続人が事業の維持発展に大きく貢献するケースが少なくありません。こうした状況において、寄与分制度の役割はますます重要になっています。

さらに、2019年の民法改正により、相続人以外の親族にも「特別寄与料」を請求する権利が認められるようになりました。これにより、例えば長男の妻が義理の両親の介護を長期間担った場合など、従来では報われなかった貢献も適切に評価されるようになっています。


寄与分制度の課題と現実

寄与分制度は理論的には相続の公平性を実現する優れた制度ですが、実際の運用においては多くの課題があります。最も大きな問題は、「特別の寄与」と認められるハードルが非常に高いことです。親の面倒を見る、家業を手伝うといった行為は、親族として当然の義務とみなされる傾向があり、寄与分として認められにくいのが現実です。

また、寄与分の主張は相続人間の感情的な対立を招きやすく、家族関係の悪化につながるリスクもあります。そのため、実際に寄与分が考慮されるケースは決して多くありません。このような現実を踏まえ、寄与分を主張する際には慎重な検討と適切な証拠の準備が不可欠です。


寄与分の基本的な仕組み

寄与分制度を理解するためには、まずその基本的な仕組みを把握することが重要です。寄与分は、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人に対して、通常の法定相続分に加えて追加的な相続分を認める制度です。ここでは、寄与分の定義から計算方法まで、制度の基本的な枠組みについて詳しく解説します。


寄与分の法的定義

民法では、寄与分について「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるとき」と定義されています。この定義から分かるように、寄与分が認められるためには単なる協力ではなく「特別の寄与」である必要があります。

「特別の寄与」とは、通常の親族関係から期待される範囲を超えた貢献のことを指します。例えば、成人した子が高齢の親の生活を多少支援することは一般的ですが、長期間にわたって無償で親の事業を支え続けたり、専門的な介護を提供し続けたりすることは特別の寄与にあたる可能性があります。


寄与分の計算方法

寄与分がある相続人の相続分は、特別な計算式によって算出されます。具体的には、「(相続財産-寄与分)×法定相続分の割合+寄与分」という計算式が用いられます。一方、寄与分がない相続人の相続分は、「(相続財産-寄与分)×法定相続分の割合」となります。

例えば、相続財産が3000万円、寄与分が300万円と認められた場合を考えてみましょう。相続人が配偶者と子2人の合計3人で、寄与分が認められたのが子の1人だとします。この場合、寄与分がある子の相続分は「(3000万円-300万円)×1/4+300万円=975万円」となり、他の相続人はそれぞれ配偶者が1350万円、もう一人の子が675万円を相続することになります。


寄与分の上限と制限

寄与分には法的な上限が設定されています。具体的には、相続開始時の相続財産の価額から遺贈の価額を控除した残額が寄与分の上限となります。これは、寄与分が過大に認定されることで他の相続人の権利が著しく害されることを防ぐための措置です。

また、寄与分は遺留分侵害額請求の対象にはなりません。これは、寄与分が被相続人の生前の行為に対する正当な対価として認められるものであり、遺留分を侵害する性質のものではないと考えられているためです。ただし、寄与分の額が過大である場合には、実質的に他の相続人の遺留分を侵害する結果となる可能性もあるため、適切な算定が重要です。


寄与分と特別受益の関係

寄与分制度を理解する上で重要なのが、特別受益との関係です。特別受益は、被相続人から生前に特別な利益を受けた相続人について、その利益を相続財産に持ち戻して計算する制度です。寄与分と特別受益は、いずれも相続の公平性を確保するための制度ですが、その方向性は正反対です。

一人の相続人に寄与分と特別受益の両方が存在する場合、相続分の計算は複雑になります。一般的には、まず特別受益を相続財産に加算し、その後寄与分を控除して各相続人の相続分を算定します。このような複雑な計算が必要になる場合には、専門家のアドバイスを求めることが重要です。


寄与分が認められる具体的な類型

寄与分が認められる行為は、実務上いくつかの典型的な類型に分類されています。これらの類型を理解することで、自身の行為が寄与分の対象となるかどうかを判断する際の参考になります。ここでは、主要な5つの類型について、それぞれの特徴と認定のポイントを詳しく解説します。


家事従事型(事業従事型)

家事従事型は、被相続人の事業に無償または無償に近い形で長期間にわたって労務を提供した場合に認められる寄与分です。典型的には、家族経営の商店や農業、製造業などにおいて、相続人が被相続人と共に事業に従事し、事業の維持発展に貢献したケースが該当します。

この類型で寄与分が認められるためには、単に事業を手伝っただけでは不十分で、通常の従業員と同程度以上の労務を提供していることが必要です。また、その労務に対して適正な対価を受け取っていないことも重要な要件となります。寄与分の算定にあたっては、同種の労務に従事する従業員の給与水準や、事業の規模・収益性などが考慮されます。


金銭出資型

金銭出資型は、相続人が被相続人に対して金銭その他の財産を出資し、被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合に認められる寄与分です。例えば、被相続人の事業資金として多額の資金を提供したり、被相続人の不動産購入資金を援助したりしたケースが該当します。

この類型では、出資した金額と被相続人の財産増加との間に明確な因果関係が存在することが重要です。また、その出資が贈与ではなく、将来の相続において考慮されることを前提として行われたものであることを証明する必要があります。金銭の流れを示す銀行振込記録や契約書などの客観的な証拠が不可欠です。


療養看護型

療養看護型は、被相続人の療養看護に長期間にわたって従事した場合に認められる寄与分です。高齢化社会において最も注目される類型の一つで、認知症や身体の不自由な被相続人の介護を長期間にわたって担った相続人に認められます。

この類型で重要なのは、介護の程度と期間です。単に同居していたり、時々見舞いに行ったりする程度では寄与分は認められません。日常的な身の回りの世話、医療機関への付き添い、介護サービスの手配など、専門的で継続的な介護を提供していることが必要です。介護記録や医療機関の診療記録、介護サービスの利用状況などが重要な証拠となります。


扶養型

扶養型は、被相続人の生活費を長期間にわたって負担した場合に認められる寄与分です。被相続人に十分な収入や資産がない状況で、相続人が継続的に生活費を援助し、被相続人の財産の減少を防いだケースが該当します。

この類型では、扶養の必要性と扶養義務の程度が重要な判断要素となります。被相続人に扶養が必要な状況があり、かつ法的な扶養義務の範囲を超えた援助を行っていることが必要です。扶養にかかった費用の領収書や銀行振込記録、被相続人の収支状況を示す資料などが証拠として重要になります。


財産管理型

財産管理型は、被相続人の財産管理に長期間にわたって従事し、財産の維持や増加に貢献した場合に認められる寄与分です。例えば、被相続人が所有する不動産の管理・運営を担当し、賃料収入の維持向上に努めたり、金融資産の運用管理を行ったりしたケースが該当します。

この類型では、財産管理の専門性と成果が重要な評価要素となります。単に財産を預かっていただけでは不十分で、積極的な管理活動によって財産価値の維持向上を図っていることが必要です。管理業務の内容を示す記録、財産価値の推移を示すデータ、管理に要した費用の記録などが重要な証拠となります。


寄与分の認定要件と証拠

寄与分が法的に認められるためには、厳格な要件を満たす必要があり、さらにその要件を満たすことを客観的な証拠によって立証しなければなりません。寄与分の主張が失敗する多くのケースは、要件の理解不足や証拠不足に起因しています。ここでは、寄与分の認定要件と必要な証拠について、実務的な観点から詳しく解説します。


寄与分の基本的要件

寄与分が認められるための基本的要件は以下の通りです。まず、寄与者が共同相続人であることが必要です。相続人以外の者は、原則として寄与分を主張することはできません(ただし、2019年の民法改正により、一定の親族には特別寄与料の請求が認められています)。


要件内容判断のポイント
相続人であること寄与者が被相続人の法定相続人である相続欠格・廃除がないことも確認
特別の寄与通常の親族義務を超える貢献継続性・専従性・無償性
財産への寄与被相続人の財産の維持・増加への貢献因果関係の立証が必要
相続開始時まで被相続人の死亡時まで寄与が継続一時的な寄与では不十分


第二に、「特別の寄与」が認められることが必要です。これは、通常の親族関係から期待される義務の範囲を明らかに超える貢献のことを指します。例えば、子が親の介護をすることは一般的な親族の義務ですが、職業を辞めて長期間専従で介護にあたるような場合は特別の寄与と認められる可能性があります。


証拠の重要性と収集方法

寄与分の主張において最も重要なのが客観的な証拠の存在です。いくら実際に大きな貢献をしていても、それを証明する証拠がなければ寄与分は認められません。証拠の収集は、できるだけ早い段階から計画的に行うことが重要です。

家事従事型の場合、勤怠記録、給与を受け取っていない証拠、事業の売上や利益の推移、同業他社の従業員給与水準などが重要な証拠となります。療養看護型では、介護日誌、医療機関の診療記録、介護サービスの利用状況、介護用品の購入レシートなどが証拠として有効です。金銭出資型では、銀行振込記録、契約書、被相続人の財産状況の変化を示す資料などが必要となります。


「特別の寄与」の判断基準

「特別の寄与」かどうかの判断は、寄与分認定の最も重要なポイントです。裁判所は、継続性、専従性、無償性の3つの観点から総合的に判断します。継続性とは、一定期間以上にわたって寄与行為が継続されていることを意味し、一般的には数年以上の期間が必要とされます。

専従性とは、寄与者がその行為に専念していたかどうかを問うものです。例えば、介護の場合、他に本格的な職業を持ちながら時々介護を手伝う程度では専従性は認められませんが、介護のために仕事を辞めたり、勤務時間を大幅に削減したりした場合は専従性が認められる可能性があります。無償性とは、その寄与行為に対して適正な対価を受け取っていないことを意味します。


寄与行為と財産への因果関係

寄与分が認められるためには、寄与行為と被相続人の財産の維持・増加との間に明確な因果関係が存在することが必要です。この因果関係の立証は、しばしば寄与分認定の最も困難な部分となります。

例えば、事業従事型の場合、寄与者の労務提供がなければ事業の維持・発展は困難であったこと、その結果として被相続人の財産が維持・増加したことを立証する必要があります。療養看護型では、寄与者の介護により被相続人の医療費や介護費用が節約され、結果として財産の減少が防がれたことを示す必要があります。このような因果関係の立証には、専門家の意見書や同種事例との比較などが有効です。


寄与分の主張手続きと実務上のポイント

寄与分を実際に主張し、認めてもらうためには、適切な手続きを踏む必要があります。また、実務上の様々なポイントを理解しておくことで、寄与分の主張をより効果的に行うことができます。ここでは、遺産分割協議から家庭裁判所での手続きまで、寄与分主張の実務について詳しく解説します。


遺産分割協議での寄与分主張

寄与分を主張する最初の場は、通常、相続人間での遺産分割協議です。この段階では、他の相続人に対して自身の寄与内容を説明し、寄与分の存在について理解と合意を得ることが目標となります。協議での話し合いがスムーズに進むかどうかは、事前の準備と説明の仕方に大きく依存します。

協議での寄与分主張を成功させるためには、まず客観的で説得力のある資料を準備することが重要です。感情的な主張ではなく、具体的な事実と数字に基づいた説明を心がけましょう。また、他の相続人の立場や感情も理解し、一方的な主張にならないよう配慮することも大切です。協議で合意に至った場合は、遺産分割協議書に寄与分について明記し、後日のトラブルを防ぐことが重要です。


家庭裁判所での調停手続き

遺産分割協議で寄与分について合意に至らない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。調停手続きでは、裁判官と調停委員が当事者双方の事情を聞き取り、合意に向けた話し合いを仲介します。調停では、より詳細な証拠の提出と法的な観点からの検討が行われます。

調停手続きを有効に活用するためには、事前に十分な準備を行うことが不可欠です。寄与分を裏付ける証拠を整理し、法的な要件との関係を明確にしておきましょう。また、調停委員に対する説明は簡潔で分かりやすいものにし、専門用語の使用は最小限に留めることが重要です。調停で成立した合意は調停調書にまとめられ、確定判決と同様の効力を持ちます。


審判手続きと最終的な判断

調停でも合意に至らない場合、手続きは審判に移行します。審判では、裁判官が提出された証拠と当事者の主張を総合的に検討し、寄与分の有無と額について最終的な判断を下します。審判での判断は強制力を持ち、当事者はその内容に従わなければなりません。

審判手続きでは、より厳格な証拠調べが行われます。書面による証拠だけでなく、必要に応じて証人尋問が実施される場合もあります。寄与分を主張する側は、法的要件を満たすことを明確に立証する責任を負います。一方、寄与分に反対する側も、主張を否定する根拠を示すことができます。審判の結果に不服がある場合は、高等裁判所に即時抗告を申し立てることも可能ですが、事実認定を覆すことは容易ではありません。


寄与分主張の時間的制限

2019年の民法改正により、寄与分の主張にも時間的制限が導入されました。相続開始から10年を経過した後は、原則として寄与分を主張することができなくなりました。この改正は、長期間にわたる遺産分割の未了状態を解消し、相続関係の早期確定を図ることを目的としています。

この時間制限は、寄与分を主張したい相続人にとって重要な意味を持ちます。相続開始後は速やかに寄与分の主張を行い、必要な証拠の収集と整理を進めることが求められます。また、他の相続人との協議も早期に開始し、できるだけ早い段階での解決を目指すことが重要です。時間の経過とともに証拠の散逸や記憶の曖昧化が進むため、早期の対応が寄与分主張の成功につながります。


特別寄与料制度と最近の法改正

2019年7月に施行された改正相続法により、従来の寄与分制度に加えて「特別寄与料」という新しい制度が創設されました。この制度は、相続人以外の親族が被相続人に対して特別の寄与をした場合にも、一定の対価を請求できるようにしたものです。ここでは、特別寄与料制度の内容と従来の寄与分制度との違いについて詳しく解説します。


特別寄与料制度の創設背景

特別寄与料制度が創設された背景には、従来の相続制度では適切に評価されなかった貢献への対応があります。典型的なケースとして、長男の妻が義理の両親の長期間の介護を担っていたにも関わらず、相続人ではないために何の対価も得られないという不公平な状況がありました。高齢化社会の進展により、このような問題がより深刻化していました。

改正前の制度では、相続人以外の者は寄与分を主張することができませんでした。そのため、いくら被相続人の財産の維持や増加に貢献していても、法的には何の権利も認められない状況が続いていました。特別寄与料制度は、このような制度の隙間を埋め、より公平な相続制度の実現を目指して創設されました。


特別寄与料の請求権者と要件

特別寄与料を請求できるのは、被相続人の6親等内の血族または3親等内の姻族に限定されています。具体的には、被相続人の兄弟姉妹の子(甥・姪)、子の配偶者(息子の妻、娘の夫)、孫の配偶者などが該当します。ただし、相続人およびその直系卑属は除外されます。


  • 被相続人の6親等内の血族
  • 被相続人の3親等内の姻族
  • 相続人および相続人の直系卑属は除く
  • 相続放棄した者は請求可能


特別寄与料が認められるための要件は、基本的に従来の寄与分と同様です。被相続人に対する療養看護その他の労務の提供により、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたことが必要です。ただし、特別寄与料は「労務の提供」に限定されており、金銭の出資などは対象外となっています。


特別寄与料の請求手続きと期限

特別寄与料は、まず相続人に対して協議により請求します。協議が調わない場合または協議ができない場合は、家庭裁判所に調停の申立てを行います。調停でも合意に至らない場合は、審判により裁判所が特別寄与料の額を決定します。

特別寄与料の請求には厳格な期限が設けられています。相続の開始および相続人を知った時から6か月以内、または相続開始から1年以内のいずれか早い方の期間内に請求しなければなりません。この期限は除斥期間とされており、延長することはできません。従来の寄与分に比べて請求期限が非常に短いことに注意が必要です。


特別寄与料の算定と限度額

特別寄与料の算定は、寄与の時期、方法、程度、相続財産の価額などを総合的に考慮して行われます。算定方法は従来の寄与分と基本的に同様ですが、特別寄与料には明確な限度額が設定されています。

特別寄与料の限度額は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額から遺贈の価額を控除した残額となります。これは、特別寄与料が過大に認定されることにより、相続人の権利が過度に制約されることを防ぐための措置です。また、複数の特別寄与者がいる場合は、それぞれの寄与の程度に応じて限度額の範囲内で分配されることになります。


従来の寄与分制度との比較

特別寄与料制度と従来の寄与分制度には、いくつかの重要な違いがあります。最も大きな違いは請求権者の範囲で、寄与分は相続人のみが主張できるのに対し、特別寄与料は一定の親族も請求できます。また、寄与の内容についても、寄与分は労務提供と金銭出資の両方が対象となるのに対し、特別寄与料は労務提供のみに限定されています。


項目寄与分特別寄与料
請求権者相続人のみ6親等内血族・3親等内姻族
寄与の内容労務提供・金銭出資等労務提供のみ
請求期限相続開始から10年6か月または1年
効果相続分の増加金銭請求権


また、請求期限についても大きな違いがあります。寄与分の主張期限が相続開始から10年であるのに対し、特別寄与料の請求期限は6か月または1年と非常に短期間です。さらに、効果についても、寄与分は相続分自体が増加するのに対し、特別寄与料は金銭債権として相続人に対する請求権が発生するという違いがあります。


まとめ

寄与分制度は、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人の努力を適切に評価し、相続における公平性を実現するための重要な制度です。しかし、実際に寄与分が認められるためには、厳格な要件を満たし、十分な証拠によってその事実を立証する必要があります。

寄与分を主張する際の最も重要なポイントは、「特別の寄与」であることを客観的に証明することです。単に親族として当然の行為を行っただけでは寄与分は認められません。継続性、専従性、無償性を備えた特別な貢献であることを、具体的な証拠によって示すことが求められます。

2019年の民法改正により導入された特別寄与料制度は、従来の制度では救済されなかった相続人以外の親族の貢献を評価する画期的な制度です。ただし、請求期限が非常に短いため、該当する可能性がある場合は速やかに専門家に相談することが重要です。

寄与分や特別寄与料の主張は、相続人間の関係に大きな影響を与える可能性があります。制度の趣旨を理解し、適切な手続きを経て主張することで、公平で円満な相続の実現を目指すことが大切です。複雑な法的判断が必要となる場合が多いため、相続に精通した専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。


よくある質問

Q1.寄与分とはどのような制度ですか?


A1.寄与分は、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人に対して、法定相続分以上の遺産を受け取る権利が認められる制度です。相続における公平性を実現するために設けられています。


Q2.寄与分が認められるためにはどのような要件があるのですか?


A2.寄与分が認められるためには、相続人であること、被相続人の財産の維持や増加に「特別の寄与」をしたこと、寄与と財産増加の因果関係があることなどの厳格な要件を満たす必要があります。また、客観的な証拠によってこれらの要件を立証することが重要です。


Q3.2019年の法改正で新しい制度「特別寄与料」が創設されましたが、それはどのような制度ですか?


A3.特別寄与料は、相続人以外の一定の親族が被相続人に対して特別の寄与をした場合に、金銭請求権として認められる新しい制度です。従来の寄与分制度では救済されなかった貢献を評価することが目的です。ただし、請求期限が短いのが特徴です。


Q4.寄与分や特別寄与料の主張にはどのような注意点があるのですか?


A4.寄与分や特別寄与料の主張には、厳格な要件を満たす必要があり、十分な証拠の準備が不可欠です。また、相続人間の感情的な対立を招きやすいため、専門家のアドバイスを受けながら適切に対応することが重要です。

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