【遺産相続】行政書士に依頼する費用相場を徹底解説!手続き別料金と選び方のポイント

query_builder 2025/10/08
コラム

はじめに

遺産相続は、多くの人にとって人生で何度も経験することのない複雑な手続きです。相続人の調査から財産の把握、各種書類の作成まで、専門的な知識と時間を要する作業が数多く存在します。そんな中、行政書士は相続手続きの強力なサポーターとして、多くの方に利用されています。


相続手続きの複雑さと専門家の必要性

相続手続きには、戸籍謄本の収集、相続人の確定、財産調査、遺産分割協議書の作成など、法的な知識が必要な作業が含まれます。これらの手続きを素人が行うには、相当な時間と労力が必要となり、ミスが生じるリスクも高くなります。

また、相続には期限が設けられている手続きも多く、相続税の申告期限や相続放棄の期限など、逃してしまうと大きな損失を被る可能性があります。そのため、専門家のサポートを受けることで、確実かつ効率的に相続手続きを進めることができるのです。


行政書士が担う相続業務の範囲

行政書士は、相続手続きにおいて幅広い業務を担当できます。具体的には、遺言書の原案作成、相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成、各種金融機関での手続き代行などが主な業務となります。これらの業務は、相続手続きの中核を成す重要な作業です。

ただし、行政書士には業務範囲の制限があり、相続登記は司法書士、相続税申告は税理士、相続争いの解決は弁護士といったように、専門分野に応じた連携が必要となる場合もあります。そのため、総合的な相続サポートを提供する事務所では、各専門家とのネットワークを活用したサービスを展開しています。


費用相場を知ることの重要性

相続手続きを専門家に依頼する際、最も気になるのが費用の問題です。適正な費用相場を知ることで、予算の計画を立てやすくなり、複数の事務所を比較検討する際の判断材料にもなります。また、費用の内訳を理解することで、不要なサービスを避け、必要な手続きに集中することも可能になります。

行政書士の相続業務における費用は、依頼する業務の内容や相続財産の規模、相続人の数などによって大きく変動します。そのため、事前に詳細な見積もりを取得し、サービス内容と費用のバランスを慎重に検討することが重要です。


行政書士の相続業務と基本料金体系

行政書士が提供する相続業務は多岐にわたり、それぞれに応じた料金体系が設定されています。基本的な業務から複雑な手続きまで、クライアントのニーズに応じて柔軟に対応できるのが行政書士の強みです。ここでは、主要な業務内容とその料金体系について詳しく解説していきます。


遺言書作成サポートの費用

遺言書の作成は、将来の相続トラブルを予防する重要な手続きです。行政書士による遺言書の原案作成費用は、約5万円からが相場となっています。この費用には、遺言者の意思の聞き取り、法的に有効な遺言書の文案作成、必要に応じた修正作業が含まれます。

また、公正証書遺言を作成する場合、行政書士が証人として立ち会うサービスも提供されます。証人としての立ち会い費用は別途設定されることが多く、公証役場での手続きもスムーズに進めることができます。遺言書作成は一生に一度の重要な手続きであるため、専門家のサポートを受けることで、法的に確実な遺言書を作成することが可能になります。


相続人調査と財産調査の料金

相続人調査は、戸籍謄本の収集から始まり、相続権を持つすべての人を正確に把握する作業です。この調査費用は約3万円からが相場となっており、相続人の数や戸籍の複雑さによって費用が変動します。特に、古い戸籍や遠方の市区町村から取得が必要な場合は、追加費用が発生することもあります。

財産調査と遺産目録の作成も約3万円からが相場です。この作業には、不動産の登記簿謄本取得、金融機関への残高照会、有価証券の調査、その他の財産調査が含まれます。正確な財産調査は、適切な遺産分割を行うための基礎となる重要な作業であり、専門家の経験と知識が活かされる分野です。


成年後見人業務の報酬体系

行政書士が成年後見人に就任する場合の費用は、約3万円からの初期費用に加え、月額報酬が発生します。成年後見人としての業務には、被後見人の財産管理、身上監護、家庭裁判所への定期報告などが含まれ、長期間にわたる継続的なサポートが必要となります。

相続事務を代行する場合、成年後見人としての権限を活用して、被後見人に代わって相続手続きを進めることができます。この場合、通常の相続手続き費用とは別に、後見人としての報酬も発生するため、総合的な費用計算が重要になります。成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した方の権利を守る重要な制度であり、専門家のサポートが不可欠です。


具体的な手続き別費用の詳細

相続手続きは多くの個別作業の積み重ねです。それぞれの手続きには固有の難しさと必要な専門知識があり、費用もそれに応じて設定されています。ここでは、実際の相続手続きでよく必要となる個別業務の費用について、具体的に見ていきましょう。


書類取得と作成業務の費用

戸籍謄本の取得代行は、1通あたり約1,500円の手数料に加え、実費(450円~750円)が必要になります。相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要となるため、通常5~10通程度の取得が必要です。遠方の市区町村からの取得が必要な場合は、郵送料や小為替手数料も加算されます。

相続関係図の作成費用は約2万円が相場です。この図は、相続人同士の関係を視覚的に分かりやすく表示するもので、金融機関や法務局での手続きで頻繁に求められます。法定相続情報一覧図の作成と認証文付写しの取得は約3万円で、この制度を利用することで、各種手続きで戸籍謄本の束を何度も提出する必要がなくなります。


金融機関関連手続きの費用

銀行口座の解約手続きは、1機関あたり約3万円が相場となっています。この費用には、残高証明書の取得、相続手続き書類の作成、金融機関との折衝、手続き完了までのフォローが含まれます。複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれに手続きが必要となるため、事前に口座数を把握しておくことが重要です。

株式などの有価証券の名義変更手続きは約3万5,000円からが相場です。証券会社によって手続き方法が異なり、上場株式と非上場株式でも手続きが大きく異なります。特に非上場株式の場合は、株式の評価や相続税への影響も考慮する必要があり、税理士との連携も重要になってきます。


その他の財産関連手続き

自動車の相続手続きは約3万円が相場です。普通自動車の場合は運輸支局での移転登録が必要で、軽自動車の場合は軽自動車検査協会での手続きとなります。自動車の価値が100万円を超える場合は、相続税の課税対象にもなるため、適切な評価が必要です。

不動産の相続については、行政書士は登記申請を行うことができないため、司法書士への依頼が必要になります。司法書士費用は6万6,000円から15万8,000円程度が相場で、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)も別途必要です。ただし、行政書士は相続登記に必要な書類の準備や遺産分割協議書の作成などでサポートを行うことができます。


相続財産額に応じた料金体系

相続手続きの費用は、相続財産の総額によって大きく変動するのが一般的です。財産額が多いほど手続きの複雑さや責任の重さが増すため、それに応じた料金設定がなされています。ここでは、財産額別の料金体系について詳しく解説します。


少額相続における定額制サービス

相続財産額が500万円以下の場合、多くの行政書士事務所では22万円(税込)程度の定額制サービスを提供しています。この料金には、基本的な相続手続きのほぼすべてが含まれており、追加費用の心配なく手続きを進めることができます。少額相続の場合、相続税の申告が不要なことが多いため、比較的シンプルな手続きで完了します。

500万円超から3,000万円以下の場合は27.5万円(税込)、3,000万円超から5,000万円以下の場合は33万円(税込)と、段階的に料金が設定されています。この価格帯では、相続税の申告が必要になる可能性もあるため、税理士との連携も視野に入れたサービス提供が行われます。


中規模相続の料金設定

相続財産が数千万円規模になると、手続きの複雑さも増してきます。この規模では、不動産、金融資産、有価証券など多様な財産が含まれることが多く、それぞれに応じた専門的な手続きが必要になります。料金も財産額に比例して高くなり、50万円から80万円程度の範囲で設定されることが一般的です。

この規模の相続では、相続税の申告が必要になることが多いため、税理士との連携が不可欠になります。行政書士は相続税申告以外の手続きを担当し、税理士は相続税申告を担当するという役割分担により、効率的な手続き進行が可能になります。また、相続人が複数いる場合の調整業務も重要な要素となります。


高額相続における専門的対応

相続財産が1億円を超えるような高額相続の場合、司法書士事務所では131.9万円(税込)といった高額な料金設定がなされることもあります。このレベルの相続では、相続税対策、事業承継、複雑な財産構成への対応など、高度な専門知識が要求されます。

高額相続では、単純な手続き代行だけでなく、相続税の最小化、将来の相続対策、事業用資産の取扱いなど、総合的なコンサルティングサービスが提供されることが多くなります。また、相続人間の利害調整も複雑になりがちで、弁護士との連携も重要な要素となってきます。このような包括的なサービスに対応するため、料金も相応の水準に設定されています。


パッケージサービスと追加費用

近年、相続手続きの煩雑さを解消するため、多くの行政書士事務所では包括的なパッケージサービスを提供しています。これらのサービスは、個別に依頼するよりもコストパフォーマンスが良い場合が多く、クライアントにとって分かりやすい料金体系となっています。


基本パッケージの内容と費用

一般的な相続手続きパッケージでは、55万円(税込60.5万円)程度で基本的な相続手続きをすべて代行するサービスが提供されています。この基本パッケージには、相続人調査、財産調査、遺産分割協議書作成、金融機関での手続き、各種名義変更手続きなどが含まれます。

パッケージサービスの利点は、事前に総額が分かることと、個別に依頼するよりも割安になることです。また、手続き全体を一つの事務所で管理できるため、進捗状況の把握も容易になります。ただし、パッケージに含まれない特殊な手続きが必要な場合は、追加費用が発生する可能性があります。


相続人数による料金変動

相続人の数によって料金が変動するのも、パッケージサービスの特徴です。相続人1人の場合は30万円、2~3人の場合は40万円、4人以上の場合は50万円からといった料金設定が一般的です。相続人が多いほど、連絡調整や書類の準備に時間と労力がかかるためです。

また、手続きを行う金融機関の数によっても料金が変わります。3機関までの場合と5機関まで、6機関以上といった具合に段階的に料金が設定され、最大で60万円から80万円程度の範囲になります。複数の金融機関に口座を持っている場合は、事前に正確な数を把握しておくことが重要です。


追加費用が発生するケース

パッケージサービスを利用する場合でも、想定を超える複雑な事情がある場合は追加費用が発生することがあります。例えば、相続人間で意見が対立し、調整に時間がかかる場合、海外居住の相続人がいる場合、特殊な財産(事業用資産、農地、山林など)が含まれる場合などです。

相続税の申告が必要な場合は、基本料金に10万円程度が加算されることが多くあります。ただし、実際の相続税申告は税理士が行うため、税理士費用は別途20万円から100万円以上が必要になります。これらの追加費用については、契約前に詳細な説明を受け、書面で確認しておくことが重要です。


他の専門家との費用比較と連携

相続手続きには行政書士以外にも、司法書士、弁護士、税理士など複数の専門家が関わる可能性があります。それぞれの専門家には得意分野があり、費用体系も異なります。適切な専門家選択のため、各専門家の役割と費用について理解しておくことが重要です。


司法書士との費用比較

司法書士は不動産の相続登記を独占的に行える専門家です。相続登記の費用は、司法書士報酬として3万円から12万円程度、登録免許税として固定資産税評価額の0.4%が必要になります。一般的な住宅の相続登記では、総額10万円から20万円程度が相場となっています。

司法書士事務所の中には、相続手続き全般を取り扱うところもあり、その場合の料金は行政書士よりも高めに設定されることが多くなります。4,000万円の相続財産で73.7万円、1億2,000万円で131.9万円といった料金設定例もあり、財産額が多いほど行政書士との費用差が大きくなる傾向があります。


弁護士・税理士との役割分担

弁護士は相続争いが発生した場合や、複雑な法的問題がある場合に必要になります。弁護士の相談料は無料から30分5,000円程度、報酬は経済的利益に応じて変動し、一般的に他の専門家よりも高額になります。ただし、争いがない相続では弁護士は必ずしも必要ではありません。

税理士は相続税の申告が必要な場合に依頼します。相続税申告の税理士費用は20万円から100万円以上と幅が広く、財産額や複雑さによって大きく変動します。相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×相続人数)を超える財産がある場合は、税理士への依頼が必要になります。


ワンストップサービスの活用

最近では、行政書士事務所が他の専門家と連携して、ワンストップで相続手続きを提供するサービスが増えています。このようなサービスでは、行政書士が窓口となって、必要に応じて司法書士や税理士と連携し、クライアントは一つの事務所とのやり取りだけで全ての手続きを完了できます。

ワンストップサービスの料金は、60万円から80万円程度の定額制が多く、個別に各専門家に依頼するよりも割安になることが一般的です。また、専門家間の連携がスムーズなため、手続き期間の短縮も期待できます。ただし、複雑な案件や争いがある場合は、追加費用が発生する可能性があるため、契約内容をよく確認することが重要です。


まとめ

行政書士による相続手続きの費用相場は、依頼する業務の内容や相続財産の規模によって大きく異なることがお分かりいただけたでしょう。基本的な手続きであれば数万円から、包括的なサービスでは数十万円程度が一般的な相場となっています。重要なのは、費用だけでなく、提供されるサービスの内容と質を総合的に判断することです。

相続手続きは一生に何度も経験することのない特別な手続きです。専門家のサポートを受けることで、法的リスクを回避し、時間と労力を大幅に節約することができます。複数の事務所から見積もりを取得し、サービス内容と費用を比較検討した上で、最適な専門家を選択することをお勧めします。また、事前に契約内容を詳細に確認し、追加費用の可能性についても把握しておくことが、後々のトラブルを防ぐために重要です。


よくある質問

Q1.相続手続きの費用の相場はどのくらいですか?


A1.相続手続きの費用相場は、依頼する業務内容や相続財産の規模によって大きく異なります。基本的な手続きであれば数万円から、包括的なサービスでは数十万円程度が一般的な相場となっています。重要なのは、費用だけでなく、提供されるサービスの内容と質を総合的に判断することです。


Q2.相続手続きには専門家に依頼する必要がありますか?


A2.相続手続きには多くの法的知識と時間が必要となるため、専門家のサポートを受けることが重要です。専門家に依頼することで、法的リスクを回避し、効率的に手続きを進めることができます。相続は一生に何度も経験することのない特別な手続きであるため、専門家のサポートを得ることをおすすめします。


Q3.相続手続きの費用に追加費用は発生しますか?


A3.パッケージサービスを利用する場合でも、想定を超える複雑な事情がある場合は追加費用が発生することがあります。例えば、相続人間の意見対立、海外居住の相続人、特殊な財産の存在などです。また、相続税の申告が必要な場合も追加費用が必要になります。これらの追加費用については、契約前に詳細な説明を受け、書面で確認しておくことが重要です。


Q4.行政書士以外の専門家はどのような役割を果たしますか?


A4.相続手続きには行政書士以外にも、司法書士、弁護士、税理士などが関わる可能性があります。司法書士は不動産の相続登記を担当し、弁護士は相続争いや法的問題に対応します。税理士は相続税の申告を担当します。各専門家の得意分野と費用体系を理解し、適切な連携を図ることが重要です。

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