【完全保存版】親が亡くなったらすることリスト｜手続きの期限と優先順位を専門家が徹底解説 | これまで小山市で承った相続に関するご相談の中から主な例を選り抜いて解説しています

はじめに

親が亡くなることは、人生で最も辛い出来事の一つです。しかし、悲しみに暮れる間もなく、様々な手続きや準備に追われることになります。死亡届の提出から葬儀の手配、その後の相続手続きまで、膨大な数の手続きが短期間に集中します。

亡くなった直後から必要となる手続きの概要

親が亡くなった直後から、法的に定められた期限内に完了しなければならない手続きが数多く存在します。これらの手続きは、死亡当日から始まり、数年間にわたって続くものもあります。適切な準備と知識があれば、スムーズに進めることができます。

手続きの種類は大きく分けて、即座に必要な緊急手続き、法的期限のある公的手続き、そして相続に関する長期的な手続きの3つに分類されます。それぞれに重要性と緊急性があるため、優先順位を理解しておくことが重要です。

心の準備と周囲への配慮

親の死に直面した時、感情的な混乱は避けられません。しかし、必要な手続きを滞りなく進めるためには、冷静さを保つことが求められます。家族や親戚との役割分担を明確にし、一人で全てを抱え込まないようにすることが大切です。

また、故人の意志を尊重しながら手続きを進めることも重要です。生前に話し合いをしていた内容や、エンディングノートなどの記録があれば、それを参考にしながら進めていくことをおすすめします。専門家への相談も躊躇せずに行いましょう。

この記事で解説する内容

本記事では、親が亡くなった直後から2週間以内に必要な緊急手続き、葬儀の準備と実施、公的機関での各種手続き、金融機関や各種サービスの解約手続き、そして相続に関する長期的な手続きまで、時系列に沿って詳しく解説します。

各手続きの期限や必要書類、注意点なども併せて説明し、実際に手続きを進める際の参考になるよう構成しています。チェックリストや表も活用し、漏れのない手続きができるようサポートいたします。

死亡直後の緊急手続き（当日〜3日以内）

親が亡くなった直後は、感情的な衝撃を受けながらも、法的に必要な手続きを迅速に行わなければなりません。この段階での手続きは、その後の葬儀や各種手続きの基盤となる重要なものばかりです。

死亡診断書・死体検案書の取得

親が亡くなった際に最初に必要となるのが、死亡診断書または死体検案書の取得です。病院で亡くなった場合は、主治医や当直医が死亡診断書を発行してくれます。この書類は、死亡届の提出や火葬許可の申請に必要不可欠な書類となります。

自宅で亡くなった場合の対応は、状況によって異なります。療養中の病気が原因であれば、かかりつけ医に連絡して自宅で死亡診断書を作成してもらうことができます。しかし、突然死や事故死の場合は、119番通報または警察への連絡が必要となり、警察医による検視後に死体検案書が発行されることになります。

近親者・関係者への訃報連絡

死亡診断書を受け取った後は、速やかに近親者や関係者への訃報連絡を行います。連絡先のリストを事前に準備しておくことで、この困難な時期の負担を軽減することができます。連絡する順番は、配偶者、子ども、兄弟姉妹などの家族から始め、その後親戚、友人、職場関係者へと広げていきます。

訃報の連絡では、故人の氏名、死亡日時、死因（簡潔に）、葬儀の予定などを伝えます。ただし、葬儀の詳細がまだ決まっていない場合は、後日改めて連絡する旨を伝えておきましょう。勤務先への連絡も忘れずに行い、忌引き休暇の申請手続きについても確認しておくことが重要です。

葬儀社の選定と初期相談

訃報連絡と並行して、葬儀社の選定を行います。事前に葬儀社を決めていない場合は、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。しかし、時間的制約がある中での選定となるため、信頼できる知人からの紹介や、病院が提携している葬儀社を利用することも一つの選択肢です。

葬儀社との初期相談では、葬儀の規模、形式、予算、日程などの基本事項を決定します。一般葬、家族葬、直葬など、様々な選択肢がありますので、故人の意志や家族の希望、経済状況を総合的に考慮して決定することが大切です。また、遺体の搬送や安置についても、この段階で手配する必要があります。

遺体の搬送と安置

病院で亡くなった場合、遺体を霊安室から搬送する必要があります。多くの病院では、数時間から一日程度の安置は可能ですが、長期間の安置はできません。そのため、葬儀社と連携して速やかに搬送先を決定し、手配を行うことが重要です。

安置場所としては、自宅、斎場、葬儀社の安置施設などがあります。自宅での安置を希望する場合は、搬送経路の確認や安置スペースの準備が必要です。マンションなどの集合住宅では、エレベーターのサイズや搬送時間の制限がある場合もありますので、事前の確認が欠かせません。

葬儀の準備と実施（2日目〜1週間以内）

死亡届の提出と火葬許可の取得後は、葬儀の具体的な準備に入ります。通夜、葬儀・告別式、火葬という一連の儀式を滞りなく執り行うためには、詳細な準備と関係者との綿密な連携が必要となります。

死亡届の提出と火葬許可証の取得

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内（国外で死亡した場合は3か月以内）に提出する必要があります。届出人の順位は法律で定められており、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の同居している親族、同居していない親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人の順となっています。

死亡届の提出先は、死亡地、死亡者の本籍地、届出人の住所地のいずれかの市区町村役場です。届出と同時に火葬許可証の申請も行います。火葬許可証がなければ火葬することができませんので、この手続きは非常に重要です。なお、火葬は死亡後24時間経過していることが法的要件となっています。

通夜の準備と実施

通夜は、葬儀・告別式の前夜に行われる儀式で、故人との最後の夜を過ごす大切な時間です。通夜の準備では、会場の設営、祭壇の手配、供花の準備、弔問客への対応などが必要となります。葬儀社が主導して進めることが多いですが、遺族も積極的に関わることが大切です。

通夜当日は、受付の設置、香典の管理、弔問客への挨拶、通夜振る舞いの準備など、多くの作業が並行して進められます。喪主をはじめとする遺族の役割分担を事前に決めておくことで、スムーズな進行が可能になります。また、通夜の際に故人の棺に納める遺品の選定も、この時期に行うことが一般的です。

葬儀・告別式の実施

葬儀・告別式は、故人を偲び、最後のお別れをする重要な儀式です。宗教的な葬儀と社会的な告別式を合わせて執り行うことが多く、それぞれに適切な準備と進行が求められます。葬儀社との事前打ち合わせでは、式次第、参列者数の確認、供花・供物の手配、弔辞・弔電の確認などを詳細に検討します。

当日の進行では、喪主挨拶、弔辞・弔電の紹介、最後のお別れ、出棺など、多くの場面で遺族の対応が必要となります。特に喪主は、参列者への感謝の気持ちを表す挨拶を行う重要な役割を担います。また、火葬場での最後の対面も、家族にとって大切な時間となりますので、心の準備をしておくことが重要です。

火葬と埋葬許可証の取得

告別式後は、火葬場へ向かい火葬を行います。火葬場では、火葬許可証を提出し、火葬を執り行います。火葬には通常1〜2時間程度かかりますが、その間は控室で待機することになります。この時間を利用して、今後の手続きについて家族で話し合いをすることも多いです。

火葬終了後、火葬許可証に火葬済みの押印がされた埋葬許可証を受け取ります。この埋葬許可証は、将来納骨を行う際に必要な重要書類ですので、大切に保管しておかなければなりません。収骨後は、初七日法要を行う場合もありますが、最近では葬儀当日に繰り上げて行うことも多くなっています。

公的機関での各種手続き（14日以内）

葬儀が終了した後は、公的機関での様々な手続きを期限内に完了させる必要があります。これらの手続きは法的な義務として定められており、期限を過ぎると罰金が科される場合もありますので、優先的に取り組むことが重要です。

住民票・戸籍関連の手続き

死亡届が受理されると、住民票から自動的に除票されます。しかし、世帯主が亡くなった場合は、14日以内に世帯主変更届を提出する必要があります。世帯主変更届は、住所地の市区町村役場で手続きを行い、新しい世帯主を決定します。手続きには、届出人の本人確認書類と印鑑が必要です。

また、故人の住民票の写しや戸籍謄本が今後の相続手続きで必要になる場合があります。これらの書類は、金融機関での口座解約や不動産の名義変更などで求められることが多いため、必要部数を事前に取得しておくことをおすすめします。除籍謄本や改製原戸籍なども必要になる場合がありますので、手続き先に事前に確認しておきましょう。

年金関連の手続き

年金受給者が亡くなった場合、受給停止の手続きを速やかに行う必要があります。国民年金の場合は14日以内、厚生年金の場合は10日以内に、それぞれ年金事務所または年金相談センターで手続きを行います。手続きが遅れると、過払いとなった年金の返還が必要になる場合があります。

一方で、遺族は様々な給付を受けることができる場合があります。遺族年金、寡婦年金、死亡一時金などがその代表例です。また、亡くなった月までの年金で、まだ受け取っていない分があれば、未支給年金として請求することができます。これらの手続きには期限があるものもありますので、年金事務所で詳細を確認し、適切に申請を行いましょう。

健康保険・介護保険の手続き

健康保険の資格喪失手続きは、社会保険の場合は5日以内、国民健康保険の場合は14日以内に行う必要があります。健康保険証の返却と併せて、資格喪失届を提出します。この手続きを行うことで、医療費の不正使用を防ぐことができます。

介護保険についても、14日以内に資格喪失届の提出と介護保険被保険者証の返却が必要です。また、健康保険からは葬祭費や埋葬料、介護保険からも葬祭費が支給される場合があります。これらの給付は請求しなければ受け取ることができませんので、忘れずに申請を行いましょう。申請期限は通常2年以内となっています。

その他の公的手続き

その他にも、運転免許証の返納、シルバーパスの返却、障害者手帳の返却など、故人が利用していた公的なサービスについて、それぞれ返却や届出の手続きが必要です。これらの手続きを怠ると、不正使用のリスクが生じる可能性があります。

また、故人が公営住宅に住んでいた場合は、住宅関連の手続きも必要になります。承継の可能性や退去の手続きについて、管理者に早めに相談することが重要です。税務関連では、所得税の準確定申告を4か月以内に行う必要があり、相続税についても10か月以内の申告・納税期限がありますので、専門家への相談を検討しましょう。

金融機関・各種サービスの手続き

故人が利用していた銀行口座、クレジットカード、各種契約サービスなどについても、適切な手続きを行う必要があります。これらの手続きは直接的な法的期限はありませんが、放置すると様々なトラブルの原因となる可能性があります。

銀行口座・金融商品の手続き

故人の銀行口座は、死亡の事実を銀行が知った時点で凍結されます。その後の手続きは相続人全員の合意が必要となり、相続関係を証明する書類の提出が求められます。まずは、故人が取引していた金融機関を全て把握し、それぞれに連絡を取ることから始めます。

口座の解約や名義変更には、相続関係を証明する戸籍謄本類、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書または遺言書などが必要となります。株式や投資信託などの金融商品についても、同様の手続きが必要です。これらの手続きには時間がかかることが多いため、早めに着手することをおすすめします。

クレジットカード・ローンの処理

故人のクレジットカードについては、速やかにカード会社に連絡し、利用停止と解約の手続きを行います。未払い残高がある場合は、相続財産から支払うことになりますが、相続放棄を検討している場合は、支払い前に専門家に相談することが重要です。

住宅ローンやその他のローンについても、借入先の金融機関に連絡し、残債の確認と今後の対応について相談します。団体信用生命保険に加入している場合は、保険金でローンが完済される場合があります。また、故人が保証人となっている債務についても確認し、適切な対応を取る必要があります。

公共料金・通信サービスの手続き

電気、ガス、水道などの公共料金については、契約者変更または解約の手続きを行います。相続人が引き続き同じ住所に住む場合は名義変更、住まない場合は解約となります。手続きには、死亡診断書のコピーや相続関係を証明する書類が必要な場合があります。

携帯電話、インターネット、新聞、各種月額サービスなどについても、それぞれ解約または名義変更の手続きが必要です。特に、定期購読サービスやサブスクリプションサービスは見落としやすいため、故人の利用状況を詳細に確認することが重要です。また、デジタル遺品についても適切な処理を検討する必要があります。

保険契約の確認と手続き

故人が加入していた生命保険、損害保険、医療保険などについて、保険会社への連絡と保険金・給付金の請求手続きを行います。生命保険金は、受取人として指定された人が直接受け取ることができ、相続財産には含まれません。しかし、受取人が故人自身となっている場合は、相続財産となります。

火災保険や自動車保険については、契約の継続または解約について検討する必要があります。不動産を相続する場合は火災保険の契約者変更、不動産を処分する場合は解約手続きを行います。医療保険やがん保険などについては、未請求の給付金がないか確認し、あれば請求手続きを行いましょう。

相続手続きと長期的な対応

相続に関する手続きは、故人の財産と債務を整理し、相続人間で適切に分配するための重要なプロセスです。これらの手続きには法的な期限が設けられているものも多く、専門的な知識と慎重な判断が必要となります。

相続人の確定と相続財産の調査

相続手続きの第一歩は、相続人の確定です。故人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、法定相続人を正確に把握する必要があります。配偶者は常に相続人となり、子、直系尊属、兄弟姉妹の順で相続権が発生します。養子縁組や認知、離婚歴などがある場合は、特に注意深い調査が必要です。

並行して、相続財産の調査も行います。不動産、預貯金、株式、保険などのプラス財産だけでなく、借金やローンなどのマイナス財産も含めて、故人の財産を包括的に調査します。金融機関への残高証明書の請求、不動産の登記事項証明書の取得、信用情報機関への照会などを通じて、財産の全容を把握することが重要です。

相続放棄・限定承認の検討

相続財産の調査結果、債務が資産を上回っている場合や、相続に関わりたくない場合は、相続放棄を検討することができます。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述を行う必要があります。

限定承認は、相続財産の範囲内でのみ債務を負担する制度で、相続人全員が共同で行う必要があります。この手続きも同じく3か月以内に家庭裁判所への申述が必要です。どちらの選択肢も重要な法的効果を伴うため、専門家への相談を強くおすすめします。期限内に何も手続きを行わなければ、単純承認したものとみなされます。

遺産分割協議と遺言書の確認

故人が遺言書を残している場合は、その内容を確認し、適切な手続きを行います。公正証書遺言以外の遺言書については、家庭裁判所での検認手続きが必要です。遺言書がない場合、または遺言書で全ての財産について指定されていない場合は、相続人全員による遺産分割協議を行います。

遺産分割協議では、相続人全員の合意により、各相続人が取得する財産を決定します。協議が成立した場合は、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印します。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や審判を利用することになります。協議に際しては、各相続人の生活状況や故人との関係、財産の性質などを総合的に考慮することが大切です。

不動産相続登記と税務手続き

不動産を相続した場合は、相続登記を行い、所有者の名義を故人から相続人へ変更する必要があります。2024年4月から相続登記が義務化され、相続により不動産の所有権を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行うことが法的義務となりました。

税務手続きについては、故人の所得税の準確定申告を死亡日の翌日から4か月以内に行い、相続税の申告・納税を死亡日の翌日から10か月以内に行う必要があります。相続税には基礎控除額があり、相続財産が基礎控除額（3,000万円＋600万円×法定相続人の数）を超える場合にのみ申告・納税義務が生じます。これらの手続きは複雑なため、税理士などの専門家への相談を検討することをおすすめします。

まとめ

親が亡くなった後の手続きは、短期間に多数の重要な手続きを並行して進める必要があり、遺族にとって大きな負担となります。しかし、各手続きの期限と優先順位を正しく理解し、計画的に取り組むことで、スムーズに完了させることが可能です。緊急性の高い手続きから順次対応し、必要に応じて専門家の助けを借りることが重要です。

特に重要なポイントとして、以下の事項を再度確認しておきましょう。

これらの手続きを一人で全て行うことは困難ですので、家族間での役割分担を明確にし、葬儀社、行政書士、税理士、司法書士などの専門家を適切に活用することをおすすめします。また、故人が生前に準備していたエンディングノートや遺言書があれば、それらを参考にしながら故人の意志を尊重した手続きを進めることが大切です。悲しみの中での手続きは辛いものですが、一歩ずつ着実に進めることで、必ず乗り越えることができます。

よくある質問

Q1.親が亡くなった直後にどんな手続きが必要ですか?

A1.親が亡くなった直後は、死亡診断書や死体検案書の取得、近親者への訃報連絡、葬儀社の選定と初期相談、遺体の搬送と安置など、緊急性の高い手続きを迅速に行う必要があります。これらの手続きは法的期限内に完了しなければならないため、スピードと冷静さが求められます。

Q2.葬儀の準備と実施はどのように進めればよいですか?

A2.葬儀の準備では、死亡届の提出と火葬許可証の取得、通夜の準備、葬儀・告別式の具体的な内容の検討が必要です。当日は受付の設置、香典の管理、喪主挨拶など、多くの場面で遺族の対応が求められます。火葬後は、埋葬許可証の取得と納骨の手続きを行います。葬儀社と密に連携しながら、故人の意志と遺族の希望を反映させることが重要です。

Q3.公的機関での手続きにはどのようなものがありますか?

A3.公的機関での手続きには、住民票や戸籍の手続き、年金の受給停止、健康保険・介護保険の資格喪失などが含まれます。これらの手続きには法定の期限があり、期限内に完了しなければ罰金の対象となるため、優先的に取り組む必要があります。また、運転免許証や障害者手帳の返却、公営住宅の退去手続きなども必要となる場合があります。

Q4.相続手続きにはどのようなものがありますか?

A4.相続手続きの第一歩は、相続人の確定と相続財産の調査です。その上で、相続放棄や限定承認の検討、遺産分割協議の実施、不動産の相続登記、所得税・相続税の申告・納税などを行う必要があります。これらの手続きには法的な期限が設けられているものも多く、専門家への相談が不可欠です。故人の意志を尊重しつつ、相続人全員の合意を得ながら進めることが重要です。