遺言書と遺留分ではどちらが優先されるのでしょうか?-2
前回の「遺言書と遺留分ではどちらが優先されるのか?」という事について続きを書いていきたいと思います。
遺言書があれば大丈夫!という訳にはいかないという事は少しご理解頂けたと思います。
但し、遺言書の内容がいかに不平等なものであったとしても、その不利益を被るであろう相続人が遺留分減殺請求の申し立てをしなければ、遺言書の内容が優先され遺産分割は完了してしまうことになります。
つまり遺言書を作成しても相続人の方に遺留分を請求されれば、それは正当な主張として認められ、遺産を渡さなければならないのですから、そもそも遺言書を作成すること自体に意味が無いのではないか?と考える方がいてもおかしくはなさそうです。
しかし遺留分はあくまでも相続人の権利であり、その主張をしなければ認められる事は無い訳ですから、そのような事例を考えると、必ずしも遺言書は無駄!とは言えないと思います。
ですから、遺言書の1例として、「太郎と花子には生前に△△△を贈与したが、二郎には何も贈与してなかった。だから二郎には□□□を遺産として渡す」といった内容も可能です。
このような場合、太郎・花子・二郎の均衡を図るといった観点から、太郎と花子が二郎の相続する遺産に対して遺留分を請求しても、その公平性から認められないことがほとんどとなっています。
贈与と相続はワンセットと考えられているので、贈与と相続の両方を全体的にみて判断をし、結果的に不公平だと判断しない場合や、社会通念上照らし合わせてみて公平であると判断されるのであれば、遺留分が認められることはないようです。